Linuxカーネル障害解析サービス「VA Quest」
Linuxカーネルを熟知した技術者陣による専任ユニットを結成し、ミッションクリティカルなシステムへの完全な障害対応を実現
VA Linux Systems Japan株式会社(本社: 千代田区神田錦町3-11、代表取締役社長:上田 哲也、以下 VAリナックス)は本日、ミッションクリティカルなエンタープライズ・システムおよび通信システム等のシステムを納入するSIベンダーや顧客企業向けに、VAリナックスのLinuxカーネル開発陣を活用した「VA Quest (Linuxカーネル障害解析サービス)」を正式に提供開始したことを発表します。
本サービスは、Linuxがミッションクリティカルな基幹システムへの適用が拡大し、Linuxシステムの障害がサービス/業務の遂行に与える影響が大きな問題となってきている現在において、SIベンダーや顧客企業に対してLinuxカーネルのソースコードレベルからの根本的な障害解析のソリューションを提供するサービスです。VAリナックスでは、既に国内の有力ソリューションプロバイダー数社に対して、同様のサービスを提供してきていますが、今回それを契約メニューの整備と拡充、専任対応チームの結成を図った上で正式に本月より提供開始に到ったものです。
本サービスの提供内容は、Linuxカーネルを熟知した技術者が、顧客のLinuxシステムの障害に対してLinuxカーネルのソースコードやメモリダンプに基づいた詳細調査を行い、障害の解析、障害原因の追及および特定、回避方法の提案、修正パッチの提供等を行うものです。最上位のサービスにおいては、障害発生前のコンサルテーションまでを行います。
本サービスの契約メニューはシルバー、ゴールド、プラチナの3段階に分かれており、シルバーは25万円/月(10台まで)、ゴールドは70万円/月(40台まで)、プラチナは150万円/月(対象機器数無制限)となっています。
また、VAリナックスでは、本サービスの正式展開にあたり、Linuxカーネルの開発とコンサルティングを主業務としているエンタープライズOS事業ユニット内に専任解析要員を5名配置したカーネル解析ユニットを新設致しました。カーネル解析ユニットのユニット長には、エンタープライズOS事業ユニット長の小田 逸郎が兼務就任します。さらにエンタープライズOS事業ユニットのカーネル技術者10名が、得意分野に応じて適宜解析業務の支援を行うという体制を敷くことで、完全なワンストップのサービスを実現します。
このリリースに対し、VAリナックス 代表取締役社長 上田 哲也は次のように述べています。「VAリナックスには、Linuxカーネルのソースコードレベルから精通した技術者が多数在籍し、世界的なLinuxカーネル開発にも直接関わることができる技術力も保有しています。今まではVAリナックスの技術力を限られた顧客のみへ提供していましたが、今後はより多くの顧客企業に対して我々の技術力を提供することが可能になり、それにより、一層のLinuxのエンタープライズシステムへの適用が推進されることになると確信しています。」
■VA Linux Systems Japanについて
VA Linux Systems Japan株式会社 (以下、VAリナックス) は Linuxとオープンソースを基盤に、ハイレベルなLinuxカーネル及びシステムのテクノロジーコンサルティングとソフトウェアソリューションを提供する企業です。 VAリナックスは、 2000年9月に設立され、Linuxカーネルを中心とした国内屈指の技術力とLinuxとオープンソースを牽引する中核企業として成長を続けています。2004年3月には、NTTコムウェア株式会社及び株式会社NTTデータからの出資を受け、通信市場およびエンタープライズ市場におけるLinuxソリューション推進の先導役となっています。
http://www.valinux.co.jp/
<捕捉資料>
VAリナックスのLinuxカーネル開発への実績
VAリナックスのLinuxカーネルに対する代表的な開発事項としては、Zerocopy NFS、Memory hotplug、Mini Kernel Dumpの3つが挙げられる。Zerocopy NFSについては、全てのコードが現在の安定リリースであるLinuxカーネル2.6に取り込まれている。 Memory hotplugについては、次期リリースでの取り込みに向けて活溌にカーネル開発コミュニティと議論を続けている最中である。また、Mini Kernel Dumpについては、 NTTデータとの共同開発プロジェクトの一貫として2004年10月13日に公開されている。
これらの他にも多くのLinuxカーネルに対する多くの改良等を行っているが、VAリナックスでは、これらの開発活動の他、 VAリナックスの一事業部であるOSDNジャパンを通じて毎年国内のカーネル技術者の育成のために「Linux Kernel Conference」を開催している。
Linux Kernel Conferenceは、カーネル関連の技術者が毎年300名以上集まる国内最高峰の技術イベントである。また、VAリナックスでは、毎年世界中から重要な開発を担っているカーネル技術者だけが50名ほど招待されて開催される「Linux Kernel Developers Summit」に毎年参加者を送り出している。Linux Kernel Developers Summitは、今後一年のカーネル開発の方向性に多大な影響を与える重要な会議であるが、日本国内から参加者を送り出せている企業はVAリナックス以外には未だに存在していない。 2004年度のオタワでのSummitでは、VAリナックス 技術部の岩本俊弘が「Hot Plug Memory and CPU」のセッションチェアマンを任された。
* Zerocopy NFS
NFSサーバがREADリクエストを処理する際、Linuxカーネル2.4ではページキャッシュからNFS送信用バッファへいったんメモリコピーを行う。それをプロトコル層でさらにソケットバッファにコピーし、そのうえでネットワークドライバが送信処理を行っていた。 Linuxカーネル2.6では、ページキャッシュに使われているページを直接プロトコル層に渡し、可能であればそのままネットワークドライバまで渡すように改良された。これにより、無駄なコピー処理のオーバーヘッドが削減されるのはもちろん、プロセッサ内部のキャッシュメモリからほかの有用なデータが追い出されることが減る。 Linuxカーネルにおいての実装は、VAリナックス 技術本部長高橋浩和がメインで担当した。
* Linux memory hotplug
メモリホットプラグ機能は、システム運用中に動的にメモリモジュールの追加や削除を行なえるようにする機能である。高可用性を求めるエンタープライズクラスのシステムで求められている。メモリのホットプラグ機能は、デバイスのホットプラグ機能と異なり、実現までには多くの課題がある。メモリモジュール上に配置された重要なデータを、そのメモリモジュール削除後にも継続して利用可能な状態におくことが設計上のポイントである。
参考URL
http://people.valinux.co.jp/~iwamoto/mh.html
http://people.valinux.co.jp/~taka/hpageremap.html
* Mini Kernel Dump
Mini Kernel Dumpは、 Linuxシステムの障害発生時に自動的に内部情報の全記録を外部の記録装置に行うためのクラッシュダンプ機能である。既にLinuxシステムでは、LKCD、netdump、diskdumpといったクラッシュダンプ機能が存在するが、これらはダンプの出力をそのLinuxシステムで使用されている既存のデバイスドライバを使用するなど、 Linuxカーネルがもはや信用できないという障害発生時においてLinuxカーネルが正常に動いていることを前提として設計されているという大きな矛盾を抱えている。
Mini Kernel Dumpでは、これらの問題を解決するために、システム障害時に障害が起きているLinuxカーネルとは別の小さなダンプ取得専用のLinuxカーネルを起動してダンプを行うという、既存のLinuxカーネルにまったく依存せずダンプを採取する手法を用いている。また、Mini Kernel Dumpでは、既存のLinuxカーネルに対する修正が非常に少ないため、ダンプ機能の組み込みのためのハードルは低く、またデバイスドライバの修正が必要ないためどのようなハードウエア構成のシステムでも動作するという特徴を持つ。
参考URL
http://sourceforge.net/projects/mkdump/
http://mkdump.sourceforge.net/