会社のために一生懸命働いて、売り上げに貢献しているという自負があるのに、同じ職場には大した成績もあげない人間がいるのはなぜなんだ…。
そんな不満が高じた結果、会社を辞めてフリーになった
DOPPO人って、意外と多いんじゃないだろうか。
「あまり仕事もできず、毎日遊んでいるように見える人間はどんな会社にも必ずいますが、その人たちの食い扶持ま面倒見る必要はない、と思ってしまいます。これって、けっこうストレスがたまりますよ」
こう語る永井さんは、慶応大学文学部を卒業して石油会社に就職。その後、大阪に戻ってビジネスコンサルティングの会社に入り、約3年ほど人事制度を中心とするコンサルティング業務に従事した。その会社での前述のような体験がフリーになることを決心させたのだが、同時にそこで培った豊富なキャリアが、現在の仕事のバックグラウンドを形づくるもとにもなっている。今年の4月に経営コンサルタントとして独立した。
コンサルタント業の強みは、しっかりとした専門領域を持っていること。永井さんの場合なら「パーソネル(人事上の)サポート(お手伝い)」という言葉からもわかるように、人事システム全般に関わることが専門。たとえば、企業と人のミスマッチを防ぐための面接マニュアルづくりをアドバイスしたり、従業員一人一人の職務についての評価システムを確立して、事業戦略に直結した人事と組織の活性化策を提案する。
企業との出会いの場となるのは、経営者や幹部社員を対象に行うセミナーである。これは月に二〜三回、大阪の中心オフィス街・御堂筋界隈にあるビルの中の小ホールや、公共施設の会議室などを借りて開催するもので、一回に約二十社ほどが参加するという。セミナーの案内は、開催要項をまとめたチラシ持参で企業の総務担当者に直接アプローチする。
ほとんど一人で講師を務めるが、最近では他分野を専門とするコンサルタントと一緒にセミナーを開くことも少
なくない。この10月にはファイリング技術を専門としたコンサルタントと事務の効率化推進をテーマにセミナーを開催する。永井さんはアウトソーシング(業務の外部委託)の活用と具体策について紹介する予定だ。
「違う分野のコンサルタントがジョイントしてセミナーを開催すると、テーマの幅も広がって複合的になり、多様な問題提案や事例の紹介が可能になります。企業関係者にPRするメリットも大きくなるんですよ。フリーだからこそ、人とのつながりやネットワークは大切だといえますね」
吹き荒れるリストラの嵐の中で職を失った人のアウトプレースメント(再就職)を支援したり、『日刊京都経済新聞』に連載コラムを持ち、『賃金システム改定戦略全書』の著作もある永井さんに、コンサルタント業の必要条件について聞くと、@話題が豊かで、相手に好かれるような個性を備えていることA人事や会計など専門分野を持ち、深い見識があることB読書が好きで、はっきりとした自分の考えを持っていることCセミナー開催などの企画力があること…などを挙げた。
フリーになった現在、サラリーマン時代よりも収入は不安定になってしまった。しかし、お金よりも人のつきあいが大事だと、強がりではなくそう思う。先日もあるゴルフ場のオーナーと不良社員の処遇について相談を受け、いろいろとアドバイスした。食事はごちそうになったが、ノーギャラ。
「こういうつきあいのかたちも、これからは大切にしていかなければ、ね」
会社にいる時より自由度も高くなったし、原稿を書ける時間が増えたこともうれしい。いまの時代が自分を必要としている、そんな思いもある。そして「何よりも妙なストレスがたまらなくなったのがいい」と笑った。