世界を相手にショーバイ・ショーバイ―貿易実務の「AtoZ」
貿易コンサルタント/小林公典
世界を股にかける商社マンに憧れた頃があった。今日は中国、明日は中近東と、颯爽と飛行機のタラップを降りる自分の姿を夢見たこともあった。今燃える気概は失せ、夢も色褪せようとしている。しかし、周りを見渡して欲しい。世界があなたを待っている時代が到来している。大組織に頼らずとも、一人で世界を相手に商売できる時代だ。そんなSOHOが増えている状況の中、貿易SOHO実践講座は開講される。
貿易稼業は難しい?
風はSOHOに吹いている
貿易をやるのは商社やある程度規模の大きな企業のやる事と考えている人が多いかもしれない。
そんなことはない。SOHOでも十分出来るのである。私は自宅の2階の一室で輸出入や貿易コンサルタントをやっている。一応有限会社組織にしており、家内が少し手伝ってはいるが、実態は私一人の会社である。最近同じようにSOHOで貿易をやる人が増えてきている。
貿易はSOHOでやりやすい仕事の一つだ。パソコンやインターネットの普及、通信の発達や通信コストの低減化、規制緩和がSOHOでの貿易を益々やりやすくしている。今年4月1日からの新外為法の施行も貿易に追い風だ。
貿易業務は各分野でアウトソーシングが進んでいる。外国為替決済は銀行が、輸送は船会社・航空会社が、通関や船積み荷卸し業務は通関業者や海貨業者が代わりにやってくれる。これら業者との連絡や海外や国内の取引先との連絡は電話やファックス、電子メールで済むのだ。
机一台と電話、パソコン、ファックスが有って、ある程度の英語の能力と貿易実務を知っていれば世界を相手に商売が出来る。貿易ビジネスはまさにSOHO向きのビジネスと言えよう。
今の仕事を始めてまだ2年半くらいしかたっていないが、最初の貿易をどのようにして始めたかご紹介しよう。
まずは輸出業者リストの入手
FAXから始まった業務展開
知り合いのアロマグッズ関連商品の業者がラベンダーを輸入したいというので、まずフランス大使館から輸出業者のリストを入手した。リストから適当な業者10社くらいをピックアップした。それらの会社に「ラベンダーを輸入したいので見本と価格を提示して欲しい」というファックスを送った。返事があったのは半分くらい。見本と価格を入手して、一番条件の良い一社から輸入した。
知り合いはそれまで日本の問屋さんから買っていたがかなりの高値で購入していた。輸入実務は私のところでやり、手数料もいただいたが、結局それまでの半値近い価格で仕入できる事になり、満足していただいた。
フランスの業者の何社かに送ったファックスがきっかけで、輸出の商売も出来た。フランスのラベンダーを引き合った業者の中にハーブなど健康食品の原料を扱っている先があった。日本からキトサンというエビやカニの殻から抽出した健康食品の原料を輸入したいう問い合わせがあったのだ。
キトサンについては私自身あまり商品知識がなかったがインターネットでの検索とちょうど折よく開かれていたある健康食品関係の展示会でメーカーを知り、見本と見積もりの依頼をした。こちらが最初に出した値段より20%くらい値切られたが、メーカーの協力も得られて輸出の仕事も出来た。
このように貿易も一度始めてみれば、比較的簡単である。
次に輸入の場合の具体的な手続きを説明する。
■供給先(輸出業者)の見つけ方
1.海外情報誌、カタログ等から見つける。
2.国内外の商品見本市で見つける。
3.ジェトロに問い合わせる。
4.外国の大使館に問い合わせる。
5.インターネットで探す。
輸入規制、輸入税率などの確認
輸入商品によっては自由に輸入できないものもある。例えば輸入禁制品とか、薬事法、酒税法などの規制を受けて免許がないと輸入できないもの(個人輸入の場合は別)、植物防疫法、家畜伝染病予防法などの規制で特定の国や地域からは輸入できない品目もある。
また、商品毎に輸入税率が決められている。これらは予め乙仲(通関業者)や税関などに問い合わせておくことが必要である。
価格条件
貿易の場合、価格が現地渡しの値段か、運賃を含んでいる価格なのかはっきりさせる必要がある。
現地渡しの値段なら、値段にEXW(工場渡し)とかFOB(船上渡し)の略語がつく。運賃込みなら、C&F、運賃保険込みならCIFである。例えばUS$500
per piece CIF Yokohama
と言うと、「横浜までの運賃・保険込みの値段で一個あたり500ドル」と言う意味になる。
小口貨物の輸送方法
個人輸入とか小口貨物の輸出入には郵便小包や国際宅急便も使われる。郵便小包には船便、航空便、エコノミー航空小包(SAL)の3種類がある。急ぎの場合は航空便、時間が掛かっても良い場合は料金の割安な船便、その中間のエコノミー航空小包と場合によって使い分けることが出来る。
国際宅配便は国際郵便小包みより早く、輸送中の貨物の所在がコンピューターで追跡できるので確実で信頼性が高くて便利である。料金は、航空便の郵便小包より高い。
航空貨物輸送、海上貨物輸送
貨物が大口になる場合は、一般の商業輸入と同じ航空貨物輸送か海上貨物輸送で行う。EXW(工場渡し)など現地渡しの条件で買い付けると現地の輸出通関や航空機への積み込みや船積みを買い手が行わねばならない。C&FとかCIFの条件で買い付けて船積みなどは輸出業者に手配して貰うほうがよい。
通関費用の一切は通関業者に事前に見積もって貰う必要がある。
輸入コスト計算
貨物代金(価格条件がFOBなどの場合は運賃や保険料をを加える)に送金費用、輸入税、消費税、陸揚げ諸掛かり、通関手数料、配送料などを加えて計算する。
外貨決済
高額の契約なら信用状(L/C)決済が使われるが、小口貨物の代金決済には外貨送金の場合が多い。
信用状は銀行に発行して貰うが、費用もそれなりに掛かるので外貨送金が簡単である。
為替レート
外国の通貨では米ドルを契約・決済上の通貨に使うことだ多い。新聞やテレビなどで言われる為替レートは銀行間の取引レートである。送金の場合はこれに1円を加えたレート(対顧客電信売レート)が適用される。
通関、貨物引き取り手続き
郵便小包や国際宅配便の場合は荷送り人が貨物価格を記した書類を貨物に添付しており、それに基づき通関される。
それ以外の航空貨物、及び海上輸送の場合は貨物の到着に間に合うように予めインボイス、船荷証券(B/L)などを通関業者に必要書類を渡し、通関を依頼しておく。
税関に輸入税と消費税を支払えば輸入許可がおりて引き取りが可能だ。