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    学びたい
   「SOHOマイスター

弟子入りしてでも学びたい「SOHOマイスター

 SOHOは知恵と技術を生かす平成のマイスターである。組織という大きなバックボーンに守られているわけではない。まさしく腕一本、技ひとつで生きる独立独歩の職人ともいえる。SOHOという道を選んだからには得意技を磨き、仕事にこだわりをもち続けながら自らをグレードアップしていかなければならない。平成のSOHOマイスターたちは日々努力を続けながら、新しい仕事の形と技術を切り開こうとしている。

取材・文=木村由美子

仕事の根底には人とのつながりがある
花崎 晋さん(CG、CADデザイナー)

●デザイン技術は現場で独学

 「デザインの仕事を始めてから28年たちます」

 大阪・出戸にある「デザインルームはなさき」は、CAD・グラフィックソフトを使ってAD、カラー意匠図・パースの制作、店舗設計などを行う事務所である。

 代表者・花崎晋さんは大阪の高校を卒業後、決まっていた就職を断り、当時まだ珍しかったデザイン専門学校へ進んだ。インテリア科で二年間学び、卒業後は広告会社に就職。店舗やサインなどのデザインを担当。すべて花崎さんが一人でこなしていたという。2年後、上司が独立して事務所を設立。社員は三人で、花崎さんもその一員として新しいスタートを切った。10年間その事務所で働き、花崎さんは独立を決めた。

 「自分で仕事をしていきたくなって独立を決心したんです」

 独立後も、前の会社の仕事を引き続き行い、パレードのフロートや遊園地の乗り物など、さまざまな仕事をしながら独学で技術を磨いて着実に実績を積んでいった。仕事はすべて得意先の紹介で広がっていった。得意先へ顔を出し、話をするうちに次の仕事依頼がくる――花崎さんの人柄であろう。

 15年ほど前から趣味でパソコンに触れ、イラストレーターやフォトショップを独学でマスターし、4年前からCADも使い始めた。

「新しいソフトを手に入れて、試行錯誤しながら操作するのが楽しいんです。ひとつのソフトを使いこなすにはひと月あれば十分ですね」

 パソコンを導入することで作業効率はずいぶんよくなった。部分的に色を変える場合も、全体のバランスを見ながら作業が出来る。また、色違いで2パターンのデザインを用意する場合も瞬時に仕上がる。花崎さんはその便利さに満足することなく、さらに新しい使い方を探し続ける。

●まず作品、がSOHOの第一歩

 花崎さんは二年間、MAC公認スクールで非常勤の講師を務めていた。生徒の顔ぶれは、会社員、花崎さんよりも年配の人などさまざまで、個人的に仕事の相談を受けることも多く、花崎さんは自らが仕事で習得した知識・技術を生徒たちに伝授していった。

「僕自身もいい勉強になりました。教えていて良かったと思います」

 電話での依頼を受け、打ち合わせに出かけるところから仕事が始まる。建物をデザインする場合、依頼者側のイメージが固まっていることが多い。だから、どれだけ相手のイメージに近づけられるかが重要なポイントになる。色ひとつにしてもイメージのズレをなくすためにチップを用いて細かくチェックする。打ち合わせの段階で徹底的に詰めておかないと後の訂正がどうしても多くなるので、依頼者と花崎さんで一つの作品を一緒に作り上げていくような雰囲気がある。

 仕事は朝8時半頃から一応終わるまで作業を続ける。年中無休である。気負う訳でもない。

 「絵を描くのが好きだから、無理せずに頑張ることができるんです」

 仕事場であるマンションも、花崎さんにとっては居心地のいい空間だ。花崎さんは仕事を楽しむタイプなので、仕事とプライベートとの切り替えは特に意識しない。

 「SOHOの利点は自分のペースで仕事が出来ること。仕事を確保するコツは、まずは作品を作ることです」

 技量を見せないことには仕事の依頼はこない。また、仕事を確保したからといって安心はできない。担当者が代わるのを機に契約が切れることもあるからだ。

「結局、仕事のつながりの根底には、人とのつながりがあるんです」

 誠意を持って人と接し、人間関係を築く。そこから仕事が広がっていく。これは独立後の花崎さんが歩んできた道でもある。

 

 

※ご利用に際して

当情報は 2000年の春〜秋に発行された雑誌「DOPPO」の各記事を元に編集されております。
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