勤めながら副収入を得る「ダブル・ワーカーズ」になる方法
─不況克服・収入倍増計画─
経済環境の悪化は、そこに働く人たちの所得にも当然影響を与える。よほどの好景気がやってこない限り給与所得は減ることはあっても増えることはないから、これまで通
りの生活を維持していくのは難しいと言わざるを得ないのだ。あくせく働いても決まりきった額の給料しか入ってこないのでは到底生活は維持できなくなる。住宅ローンもまだまだ何10年も残っている、子供の学費もかかる、老後に備えての蓄えも必要――、ため息をつきながら自分の小遣いを1万円、2程度削ったところで砂漠に水を撒くようなものだ。となるとアフター5や土日を利用したダブルワークで副収入を稼ぎ出し自己防衛を果
たすしかない。
生涯賃金の目減りがビジネスマンをサイドビジネスへ走らせ始めた
20代、30代ビジネスマン向けキャリアアップ・ビジネス情報誌「ダイヤモンドtype」(発売/ダイヤモンド社)が今年3月、1000人のビジネスマンを対象に「収入に関する意識調査」を敢行。
「3年以内に年収を200万円アップさせるには?」の問いに、実に30・7%の人が「サイドビジネス」と答え、「転職」(33・0%)に次いで2番目に高い数字をはじき出している。ちなみに同雑誌が昨年行った同じ意識調査では、「サイドビジネス」と答えている人は18・6%で、「転職」、「社内出世」に次いで3番目にとどまっている。わずか1年でここまで「サイドビジネス」に関心を示すビジネスマンが増えたのはなぜか?
ダイヤモンドtype編集部松永憲和氏は、その最大の理由を「生涯賃金の目減り」である、と指摘する。
「現在、早期退職制度を取り入れる企業は実に8割にも達すると言われています。例えば50歳で早期退職し、再就職したとしても、この年齢では年収600万円が上限とされ、最初の企業で60歳まで勤める場合と比べ、生涯賃金では大きく下回るのです。
その目減り額を、ある実在企業を例に調べてみると、都銀A社では1億1120万円、大手専門商社Bは7900万円、百貨店Cは6100万円、それぞれダウンしている。では、仮に7000万円生涯賃金が減額するとして、その減額分を自ら取り戻すためには、定年までにいくらの年収を上乗せして稼いでおかないといけないか計算してみると、次のような数式ではじき出される。
7000万円÷(50歳―22歳)=250万円。つまり、ビジネスマンは入社後から50歳まで、毎年250万円を会社の給料以外に稼がないと、今までの日本人の生活レベルを維持できないのだ。
この「生涯賃金の目減りの悲劇」をマスコミ各社が取り上げ始めたことで、ようやくビジネスマンも将来に対して危機感を持ち、どうすれば収入を上げられるかを真剣に考え始めるようになったようだ。
本業以外で第二の収入源を確保することが必要不可欠
しかし、生涯賃金を上げるために、ビジネスマンたちがすぐにサイドビジネスに走り始めたかというと必ずしもそうではないようだ。松永氏はさらに続けてこう語る。
「サイドビジネスを実行する人は、どちらかと言うとブルーワーカーに多く、ホワイトワーカーの人たちには、どこか後ろめたさを感じるようです。従って、大半のビジネスマンたちが、年収を上げるために取る行動は、やはり『転職』です。そして年収を上げるための転職先として、今ビジネスマンが注目しているのが、成果
主義型賃金効果を取り入れている企業です」
成果主義型賃金効果とは、要するに固定給以外に実績に応じて報奨金(インセンティブ)が支払われることである。つまり実績を残せば、20代にして年収1000万円も十分狙える。実績に関係なく、30代後半まで待たないと年収が1000万円を超えない従来の企業に比べ、実力があれば早くから年収を大きく上げられることが、この成果
主義型賃金考課の特徴である。
そしてこの賃金システムを取り入れる企業が急激に増えていることは、ビジネスマンにとっては生涯賃金を上げる大きなチャンスにもみえる。しかし、ここに一つの大きな落とし穴があった。成果
主義型賃金考課導入企業では、業績が下がれば躊躇なくクビを告げられるし、年収が高い社員はそれだけノルマも厳しくされ、やはり長くは勤められず、再度、転職せざるを得なくなる。
「結局、現代ビジネスマンの生涯賃金の目減りはもはや避けられず、本業以外で第二収入源を確保することが必要不可欠なのです。そして、その事実にビジネスマン一人一人が気づき始めたのです」
いざ実行するとなると難しいサイドビジネス
消費者行動研究所(代表・高橋啓介氏)の調査でも、副収入を得るため、サイドビジネスをする必要性を感じているビジネスマンは確実に増えていることが報告されている。しかし、実際に行動に移している人となると、その数はあまり伸び
ていない。最大の問題は、サイドビジネス向けの「めぼしい商売ネタ」が見つけられないことにあるらしい。
同研究所がまとめたレポートによると、ビジネスマンがサイドビジネスのネタ選びで重要視する点は「異業種の人との出会い」(42%)、「収入面
」(19%)、「息抜き・気分転換」(15%)、「自己鍛練」(7%)、「その他」(17%)となっており、副業とはいえ、「小遣い稼ぎ」よりはむしろ本業に何らかのプラスアルファの効果
をもたらしてくれるサイドビジネスを望んでいることが伺える。
要するにビジネスマンたちは、たとえ収入を上げたくても、深夜ガードマン、データ入力などの身をすり減らすだけの単純労働には興味がなく、本業では培えないような人脈、情報、経験を得るチャンスをサイドビジネスに求めているのだ。
ではいったいそのような願いがかなえられるサイドビジネスネタが、どれほどあるだろうか?
一般的にサイドビジネスを始める手段として考えられるのは「登録型」「フリーランス型」「起業型」
の3つである。
なかでも手っ取り早いのは何と言っても「登録型」である。人材派遣会社や在宅ワーカー向けの仕事紹介会社に登録し、土日だけでできる仕事を紹介してもらうというもの。データ入力やFAX添削、テープ起こしなどの単純軽作業を請け負い、日銭を稼ぐ。お金のため、と割り切れる人には向いているかも知れないが、やり甲斐はなかなか感じられないだろう。どちらかと言えば主婦向けのサイドビジネスである。
「フリーランス型」は本業で培ったスキルを社外で活用し、副収入を得るというもの。
例えば、金融アナリストや企業財務担当者であれば、雑誌や業界誌に寄稿できるだろうし、パソコンエンジニアであれば、土日だけのパソコンインストラクターとして活躍することもできる。しかしいずれにせよ、特別
な専門能力を備えた人だけができるサイドビジネスなので一般の人にはちょっと難しい。
「起業型」は本業以外で会社を起こし、副収入を得るというもの。販売代理店に加盟したり、自らのアイデアで会社を起こすなど「土日カンパニー族」などと注目を集めているが、いざ実行するとなると相当なエネルギーと周囲の協力を必要とし、実際、軌道に乗せるのはやはり難しい。
確かに今、サイドビジネスに対する関心は日毎に高まり、副業向けのビジネスネタを紹介する書籍、ホームページが急増していることは事実である。しかし、実践が比較的容易なもの、あるいは是非とも挑戦してみたいという気にさせるものとなると、まだまだ少なく、ダブルワーカーズの数が伸び悩む最大の壁となっている。
注目を集める「ネットワーク型」ダブルワークとは何か
サイドビジネスを始めたくても、取り組むべきめぼしい商売ネタを見つけられず身動きの取れない人が多い中、サイドビジネスで培った人脈、情報、経験を本業にも活かし、悠々とダブルワークを楽しんでいるビジネスマンが増えているらしい。彼らはどのように商売のネタを見つけたのか?
異業種交流会「パティオ」の委員長を勤めながら、本業では商社に勤めているという榎本昭弘氏はこう語る。
「いまビジネスマンがもっとも大切にしているのは横とのつながり、つまり業界を隔てた人脈です。異業種交流会や各種セミナーなどに参加して、社外の人とのネットワークつくりに積極的になっているのです。しかし、ただ人脈の幅を広げるだけでは満足できなくなった人が増えて、その人脈を活かして何かを生み出そうとし始めているのです」
確かに、企業内では自分の仕事領域が決まっていて、新しいことを試みる余地はない。となると、会社の外で新しい仲間と一緒に自分たちの力を発揮してみたくなる。
「こうした人たちがホームページ制作会社を始めたり、イベント企画制作を始たり、またオンライン通
販を始めたりします。つまり人脈ネットワークを活かしたサイドビジネスを可能にしたのがインターネットです」
いわばこれは「ネットワーク型サイドビジネス」と表現できるだろう。多くのスタッフがかかわることで情報収集、顧客開拓が容易になり、比較的容易に軌道に乗りやすい。しかも、サイドビジネスを通
じて得られる多くの人脈、情報を本業にも活かせるため、とくにビジネスマン向けのサイドビジネス・スタイルだと言える。
実際、このパティオで仲間を作り、ホームページ代行業務を副業で始めたという山下健児氏(仮名/家電メーカー・28歳)もサイドビジネスにかける意気込みをこう語る。
「会社の昇給・昇格評価は学歴が非常に影響するので、学歴で見劣りする私は、いつまでも兵隊でしかない。やる気はあるのですが社内の評価基準は当てになりませんから、このやる気を
外へ向けようと思い、サイドビジネスを始めようという気になったのです。当初は、何をしてお金を稼げばいいのか、まるで検討もつきませんでしたが、幸いインターネット環境が整っていたことと、異業種交流会で多くの仲間ができたことで、ホームページ代行業務をスタートさせたのです」
では、こうした「ネットワーク型サイドビジネス」をすでにに実践し、本給以外に月収10万円以上を稼ぎ出している人たちの、オリジナル・ダブルワーク術を検証してみよう。彼らがいかに商売のネタを見つけ、それを行動に移したか――。そこにはあなたが学ぶべき多くのヒントが隠されているに違いない。
ダブルワーク成功のポイント
仕事の段取りさえ組んでいれば、あとは自然とビジネスが成り立ち、いつの間にかお金が入ってくるようになっている。こうした商売の「仕組み」を作ることがダブルワークを成功させる最大の鉄則ともいえる。
そして何よりも大切なのはダブルワークを楽しむことである。目先の日銭欲しさに、安易なサイドビジネスに飛びついてしまっては、本業にも悪影響を及ぼすことになり兼ねない。ダブルワークを収入アップの手段としてだけではなく、日頃使わない「脳」と「筋肉」をリフレッシュさせ、社外のいろいろな人たちと出会うきっかけを得る手段として考えれば、自然と仲間も集まり、あなたに最適なサイドビジネスネタが見つかるに違いない。
実際にダブルワーカーとして活躍しているほとんどの人が、「そのサイドビジネスが本業に良い相乗効果
をもたらすかどうか」を考えるべきだと語っている。