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アメリカ発SOHO事情

インターネットの一般化によりSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)の概念は世界中に広がり、世界各国、それぞれのお国柄を反映するようなシステムが着実に力強く根づいている。今回から世界とアメリカのSOHOの状況をレポート方式でお届けする。知りたいこと、取り上げて欲しい話題があれば編集部あてにどんどん要望を寄せて欲しい。

(アメリカ在住本誌在宅記者/佐久間陶子)


「出社不要」の勤務形態が定着アメリカ・ビジネス社会の激変

 世界的に会社の合併、リストラが進行しつつある今日だが、アメリカでも企業のダウンサイズ化が促進され、働く人たちの将来は不透明なままだ。ここ3、4年、そうした背景からテレコミューティング(Tele-commuting)が急激に普及した。現在アメリカでは約400万人もの人たちがその利用者だといわれており、年々20%の割合で増加しているという。

 デスクの上でリンリン鳴るはずの電話は携帯電話にとって変わられ、電話番の秘書はボイスメールに仕事を奪われた。デスクトップ・タイプの大きなパソコンは出張先でも作業のできるラップトップ(ノート型)にとって替わられるという具合に、企業組織のダウンサイジング化は働く人たちの環境を大きく変えようとしている。

 Ernst&Yongはビッグ6といわれる公認会計士の団体の一つだが、本社勤務のスタッフ人数を半分に減らし、テレコミューティングによる勤務シフトを敷いた。出社する必要のある場合は、事前に会社に予約を入れ、自分のデスクを確保する勤務形態である。

 アメリカで有名な広告会社Chiat/Dayは、顧客とのコンタクトに特別 なコンピュータ・ラインを設置し、ビーパー、携帯電話、ボイスメール、電子メールを駆使して営業マン及び顧客との連絡ネットワークをより密にした。


チャンスは平等にあるのがアメリカという国

  このように在宅勤務率が増えているアメリカだが、夫は外で働き妻は家庭を守る、といった生活形態は不可能に近く、ほとんどの家庭は夫婦共働きで一家を支えている。1950年代のように男手ひとつで家族を養うパターンは今は昔の話で、完全に少数派になった。中流階級のみならず上流家庭ですら妻が会社を所有したり、何らかの形で仕事に携わることが多い。大統領クリントン夫妻にしろ、妻のヒラリーが弁護士として、しっかりと自分の仕事を持つキャリアウーマンである。

 より良い生活をするにはまず収入である。収入アップの方法としてもっとも考えられるのがサイドビジネスで臨時収入を得ること。本業の会社勤め以外に少しでもお金を稼ごうと、退社後の付き合いやテレビを見る時間を削り、子供が寝静まってからパソコンに向かってサイドビジネスに精を出す人たちも多い。サイドビジネスで得る臨時収入に満足する人たちもいるが、副収入が増えてきた頃、本業の会社勤めを辞めてサイドビジネスで独立するかどうかを秤にかける人もいる。サイドビジネスを本業にし、会社を辞めて独立する人が当然出現するわけである。その結果 、SOHOが誕生することになる。

 アメリカという国は「アメリカン・ドリーム」で知られるように、独り立ち(個人経営)を何らかの形で社会的に成就することを人生の目的とする傾向がある。アップル・コンピューター、ウォルト・ディズニー・エンタープライズ、プロクター&ギャンブル――これらのビッグ・カンパニーはすべてホームオフィスから始まった会社である。もともとアメリカン・ドリームは、チャンスは誰にでも平等に与えられるという民主主義の根本をなすものである。

 自宅のガレージをオフィスにして始めたビジネスが、いつの間にか大企業と肩を並べ、やがて競争相手になるほど成長できるチャンスがいつでもどこにでも転がっている国、それがアメリカという国なのだ。














 

※ご利用に際して

当情報は 2000年の春〜秋に発行された雑誌「DOPPO」の各記事を元に編集されております。
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