合名・合資会社のつくり方 〜出資者は最低2名でよい〜
設立指導/司法書士
岩佐博行
協 力
岩佐事務所
はじめに
創刊号で合名会社&合資会社のメリットについて特集したが、今号では設立までの実際の手続きについて、定款などの書類とともに紹介しよう。
■合資会社の設立手続き
合名会社&合資会社の法的性格はさておき、両会社の設立手続きについての違いは少しなので、最初に合資会社について紹介し、後半で合名会社の場合について紹介する。
難しいことは考えずに最後までお読みいただければ、会社の設立が思っていたよりも簡単にできることに気がつくはずである。
●社名などの会社内容決定
最初に会社の内容を決定する。むずかしいことを決めるわけではなく、最低限次のことになる。
●出資者と出資する物
出資者は最低2名である。会社の借金を含めすべての責任を負う無限責任社員1名と、原則として出資のみをする有限責任社員1名を決める。自分が無限責任社員となり、有限責任社員に友人を募ったり、妻や夫になってもらうのが一般
的。
出資は、有限会社や株式会社と異なり最低額の制限がないので、現金1万円でもよいし、買い換えて余っている中古パソコンでもかまわない。なお、表題に「出資する物」と書いたが、無限責任社員は現実に金銭や財産を出資する必要はなく、「信用」や「労働」といった物以外を出資(提供)することもできる。つまり、事業を行う=信用や労働そのものを出資とすることができるのである。
●社名
「合資会社 ドッポ」、「東京独立支援ネットワーク 合資会社」などなど、原則として命名は自由である。「ゆきおくん」と「ひろこさん」ご夫婦が会社を設立するのであればその頭文字をとって「ワイ・エイチ 合資会社」でもよい。ただし注意することは、会社を設立する場所と同じ市区町村に、同じ事業内容の会社で、同一かまたは類似の社名があれば設立はできない。例えば、同じ出版事業をおこなう「合資会社 東京ドッポ」が新宿にあれば、「合資会社 ドッポ」の社名は新宿を本店所在場所とする限り使えない。これらは所轄の法務局で調べることになるが、まずは電話帳などで調べてみて、ありそうもない社名をいくつか考えておくとよい。
●事業目的
簡単にいうと商売の内容である。八百屋を始めるのか、翻訳請負をするのか、それともインターネットプロバイダ業かを決める。原則として事業目的に制限はなく、また会社設立後すぐに始める事業だけでなく将来行うことでもよい。
なお、表記上は「喫茶店の経営」「コンピュータの販売」などのように具体的に掲げる必要があり、「店舗の経営」「物品の販売」などは許されないので注意。
●本店の所在場所
会社をどこに置くかということである。場所のことなので、自宅で行うのであれば自宅が、オフィスや店舗を借りて事業を開始するならそのオフィスや店舗が会社の所在であり、本店所在場所になる。
●その他
以上が合資会社設立にあたり決める必要最小限であるが、言い方を変えればこれだけを決めれば会社を設立することができるということである。
なお、これらのほかに決めておいた方がよいものとして次の事項がある。
・営業年度
「4月から翌年3月末まで」など
・利益の分配
出資者間での利益分配の方法など
・代表者
社員が複数人いる時の会社代表者
■書類の調整、捺印
会社内容が決まったら、次の文書を整えることになる。
●定款
社名(商号)、事業目的、本店所在地、出資者及び出資する物などをまとめた文書である。2通
作成し、出資者全員が署名捺印したうえ、1通は収入印紙4万円を貼付し原本として保管する。残り1通
は後述の登記申請書に添付する。
会社実印を作るのであれば、この定款作成後となる。
●出資証明書
定款が作成できたところで、現金出資があればこの金銭授受を、その他の財産の出資があればその引渡を行うことになるので、これらの出資の履行を証した旨の文書を作成する。現金出資であれば領収書、その他の財産出資であれば引渡受領書などになる。
●印鑑紙、印鑑届出書
印鑑紙とは会社の実印を法務局に登録するための用紙である。この用紙に商号、本店、社員名、生年月日を記入、会社の実印を押印し、社員個人の実印を押印した印鑑届出書と一緒に法務局に提出する。
なお印鑑紙は一般には入手できないが法務局に行けば交付してもらえる。
●登記用紙
合資会社の登記する事項を記入する用紙である。会社の商号、本店、目的、社員について記入し、申請人印欄に会社の実印を押印する。用紙は印鑑紙と同様に法務局で交付してもらえる。
なお、この登記用紙が会社設立のときそのまま登記簿となり、会社成立の証明文書である登記簿謄本のもとになるので、字のきれいきたないが気になる人はワープロなどで記入するとよい。
●合資会社設立登記申請書
法務局に提出する文書である。会社の実印を押印し、登録免許税として収入印紙6万円を貼付する。なおこの収入印紙は貼ったままで契印してはならないので注意。
●合資会社設立の登記申請
以上の書類が準備できたら、これらの書類に基づいて、会社実印届出とともに申請する。登記申請書に定款などの書類と、個人の印鑑証明書を添付し所轄の法務局へ提出する。これで会社設立の手続きは終了となる。あとは法務局の審査が事なく終われば合資会社設立となる。
●設立登記完了、登記簿謄本取得
申請のときに窓口で聞いた期間経過ののち、審査が無事終了していればいつでも登記簿謄本の交付請求をすることができる。これで「**合資会社」の誕生である。
●所轄庁への届出
税務署、社会保険事務所、その他の官公庁へ事業開始に備え諸届出を行う。
■合資会社の設立手続き
合名会社と合資会社の違いは「出資者全員が無限責任社員である」の一点につきる。会社の設立手続きもその点に関する部分が異なるだけである。具体的には次の部分になる。
・出資者の全員が財産の提供をしなくともよい。よって資本金0円の会社も設立可能である。
・定款、登記事項のうち、社員に無限、有限の区別が不要。
■まとめ
●設立手続のフローチャート
・合資会社の設立の手続順を簡単におさらいすると
・社名などの会社内容決定
・定款の作成、捺印
・会社実印作成
・現実の出資
・出資証明書、印鑑紙、印鑑届出書、登記用紙を作成
・合資会社設立登記申請書作成
・設立登記申請、会社実印届出
・設立完了、登記簿謄本取得
・所轄庁への届出
となる。
●設立までの期間
会社内容が決まってから設立完了までは、早ければ10日ほどで終了する。通
常は2、3週間見ておけば十分。
●費用
費用は、実費として、
・定款収入印紙 4万円
・申請書収入印紙 6万円
・個人印鑑証明書取得 3百円
・登記簿謄本取得 1千円
・会社実印費用 約1万円
となり、合計11万円余りである。
●手続きの代理
多少金銭に余裕があり、またこれらの手続が面倒であれば、司法書士事務所に依頼することもできる。会社設立まで手続を代理してもらえる。手数料としては、会社内容により多少変わるが一般
に6、7万円ほど、実費を含めて20万円あれば十分である。
司法書士 岩佐博行 千葉県柏市柏在住
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