地方発 DOPPO人─東京─
地域社会に根をおろして活躍しているDOPPOたちから近況報告が届いた。それぞれ知恵と工夫と努力で独立独歩の道を歩き始めた人たちばかりである。なおこのレポートは本誌で募集した在宅記者がそれぞれの地域のDOPPO人に取材して寄せてくれた原稿である。
経験を生かしてセレモニーレディの人材派遣業を開業
有限会社セレモニーコスモス 代表取締役/堀川聰美さん
●会社の倒産を機に自らのプランを実現
堀川さんに転機が訪れたのは今から5年前のことである。
「もともと主婦を対象とした、ある人材派遣の会社にいたのですが、そこで、新規部門を任されることになったんです。それが『セレモニーレディ』人材派遣の始まりです」
セレモニーレディとは、葬儀に関わる様々な手伝いをする仕事で、お通
夜と告別式の2日間、遺族の接待や会葬者の案内、返礼品のセッティングや受け渡し、火葬場までの同行などを行う。葬儀社から依頼がきた時点で、登録している人材を葬儀の現場に派遣する業務である。
当初、人材派遣の主婦を葬儀の配膳に使えないだろうかというのが社長の発想だった。しかし、その業務を開始して2年ほど経つと、依頼の大半において女性の感性が必要となった。
「ご喪家にとって前回の葬儀の記憶も薄れ、初めての斎場だと不安もあるでしょう。何をするのか、時間はどれ位
かかるのかなど。特に喪主様が女性の場合は、私たちに声をかけやすいのか、安心感を持って細かい事を聞いてきます。そういう意味でも女性に合った仕事だと思います」
堀川さんは派遣先の葬儀社を増やす一方、人材確保のため面接を行い、スタッフを教育し、自らも現場に入って一から勉強していく中で、この人材派遣における葬儀の仕事は、配膳よりも案内の方が伸びていくと肌で感じた。「それがこの仕事を選んだきっかけです。でも、この仕事に意欲を燃やし始めた時に会社が倒産しました」
しかし、堀川さんの「葬儀に関わる仕事をしていきたい」という思いは強く、スタッフの応援を得て、独立へ踏み切った。
「お葬儀というのは共に過ごした家族や色々な思いを共有した人がこの世からいなくなるわけでしょう。その悲しみをどれだけ勇気づけ、希望を持ってまた明日から頑張って頂けるか。私は心を込めて勤めたいのです」
開業資金は保険を解約したり、海外旅行をキャンセルした費用などでどうにか捻出。事務所は当面
、自宅で行うことにした。独立したことを業者へ報告したその翌日、さっそく仕事の依頼がきた。
「うれしかったですね。いい仕事をしなければリピートの仕事なんて頂けませんから。入ってすぐの新人を一人で現場に出すことは絶対にしません。ある業者さんが『ずっと関わってくれているからスタッフの人が一人で来ても皆いい仕事をしてくれる』と言って、独立後に新しい業者さんを紹介してくれたんです。本当に有難いことでした」
一生懸命努力しても、絶対に成功するとは言い切れない。スタッフが全員いつも元気だとは限らないし、いつどういう事情で辞めるかもしれない。掘川さんの頭の中にはいつもその思いがある。
「この仕事を生涯続けたいという強い思いが常にあります」
自分の力なんて微々たるものと堀川さんは言い切る。周囲の人たちが共に力を出して支えてくれたから自分自身も頑張ってここまでこれた、ということを常に自分に対して言い聞かせているという。
(取材・文/渥美比奈子)
●東京都府中市
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