地方発 DOPPO人─福岡─
地域社会に根をおろして活躍しているDOPPOたちから近況報告が届いた。それぞれ知恵と工夫と努力で独立独歩の道を歩き始めた人たちばかりである。なおこのレポートは本誌で募集した在宅記者がそれぞれの地域のDOPPO人に取材して寄せてくれた原稿である。
闘病生活を機に在宅でできる 入力サービス業を開始
プラムネットOAサービス(P.O.S) 代表/梅林祥司さん
●すべて手づくりの事務所を開設、主婦パワーで受注をこなす
梅林さんが事務所設立を思い立ったのは今年に入ってからである。それまで実家の一室を事務所代わりに使っていたが、業務拡張につれ手狭になり、クライアントやスタッフが気軽に打ち合せする場所も欲しかったことも手伝って事務所を借りることにした。しかし先立つものがない。なんとかならないかと営業の合間に見つけた格安物件は元理容院だった。鏡や洗面
台などの理容院の備品を梅林さん自らがリニューアルするという条件つきで敷金をタダにしてもらったという。このときに活躍したのが、日曜大工の得意な父親。親戚
、友人にも手伝ってもらって、今年3月、真新しい明るいイメージの事務所が完成した。無駄
な出費を抑えるため、机等の事務用品はリサイクルショップで探し、戸棚は粗大ゴミの中から拾ってきた。看板は以前の理容院のままだ。「この部屋で一番高いものといったら、特注したブラインドですね」と笑う梅林さんだが、それにしろ2万円というから驚く。
梅林さんは3年ほど前に膵臓の病気にかかり、入退院を繰り返した。67キロほどあった体重も55キロにまで減った。2ヶ月間の休職を余儀なくされ、焦りと迷いの中で、ある知人からSOHOという言葉を耳にした。これをきっかけに梅林さんの第二の人生が始まったのだ。
「パソコンを使う在宅の仕事なら療養中でもできるかもしれないと思ったんです」
幸いそれまで勤務していた会社で培った人脈はあり、受注の方法も把握している。上司も梅林さんの話に真剣に耳を傾けてくれて「前向きな気持ちで飛び降りてみるのもいいかもしれない」と最終的には独立に賛成してくれた。
療養も兼ねて自宅で一人で入力作業をしていた梅林さんだが、受注が増えて忙しくなりパソコンの経験がある友人の奥さんに協力を求めることにした。さらに人材を確保するため近所の主婦を何人か集め、Windowsの基礎から教えた。このグループがプラムネットOAサービス(P.O.S)の始まりになった。ちなみにプラムネットの「プラム」は梅林さんの「梅」から命名したものである。
本格的な活動を開始したのは、昨年の秋に某建設会社の大きなプロジェクトに関わってからのことだ。受注はしたものの6〜7名のスタッフでは仕事が処理しきれない。そこでNIFTYの掲示板で在宅スタッフを募集すると驚くほどの反響があった。ただ、ほとんどが未経験の主婦層で、即戦力にはならない。が、梅林さんはせっかく応募してきた人たちとの「縁」を選択した。
福岡県内に散在しているスタッフの自宅を訪問し、丁寧に入力方法を指導することから仕事が始まった。なかには表作成の経験さえない主婦もいて、最初の2
ヶ月間はほとんどインストラクター同然だったという。
「せっかく僕の呼びかけに応えてくれた人たちですから、長くお付き合いさせていただこうと思いました」
梅林さんを悩ませた彼女たちもいまや強力なスタッフに成長している。いまでは彼女らから「仕事ありませんか?」と逆に梅林さんのほうがハッパをかけられるほどだ。
現在は入力代行業務が主体だが、今後ソフト開発やCAD業務などどんどん仕事の幅を広げていく予定である。そしてもう一つ、6年間勤務した建設コンサルタントの会社が福祉に積極的で障害者の雇用等も率先していたこともあり、梅林さん自身も将来的にはその方面
での仕事を考えている。その日に備えて梅林さんは、ときおり施設を見学したりして構想を練っているところだ。
(取材・文/木村葉子)
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