私のわがままビジネス
起業の第一歩は自分の「好きな仕事」を始めることである。嫌いな仕事は長続きしようもないし、身を入れて励むこともないだろう。自分が本当にやりたい仕事をするのが何と言っても起業成功のための第一条件となる。他人が何を言おうと、自分の好きな仕事なら継続できる。明確な意思をもってわがままを貫き通
せば成し遂げられることは多いのだ。
好きな仕事だったら仕事と子育ての両立も苦にならない
●立体イラストレーター
ポッシュベール(有)代表/服部みどりさん
出産を機に退職したときから起業が始まった
服部さんの仕事は立体イラスト――紙粘土やプラスチック粘土を使って人物や動物、キャラクターをアクリル系絵具で彩
色して立体的につくり上げる。その立体を撮影して本のページを飾ったり、ディスプレイにするのが主な仕事である。
服部さんは武蔵野美術大学で彫刻を学び、卒業後はサンリオに就職してOL生活を送った。サンリオでは、彫刻の知識と技術を生かして新キャラクターの開発に携わり、イメージ・イラストを基にキャラクターを立体化する「型物」を数多く手がけた。26歳で社内結婚し、出産を機に退職。
在社当時から独立志向が強かった服部さんは、会社を辞めた翌月、知り合いからパンフレットの制作を引き受けることになり、このときから独立への道が始まった。
「出産後も家で仕事をするようになって、自分の作品をたくさんの人に見てもらえる可能性のある出版社に作品を持ち込みました」
飛び込みで作品を持ち込んだ大手出版社から運よく表紙の仕事を受注することができ、服部さんの仕事ぶりは他の編集者にも評判になった。次々に別
の雑誌の立体イラストやデザインの仕事が増え、旧知の仲間たちの協力を得て仕事をこなしていくようになった。
「仲間の手助けもあって、子育てと仕事の両立はたいして苦労しませんでした。だいたい夜9時に子供を寝かせてから朝まで仕事をします。粘土いじりが大好きなので、私にとっては趣味に熱中しているようなものなんですよ」
そして、3年ほど前に「ポッシュベール」(フランス語で「緑のポケット」の意)を設立。
「会社を設立した一番の動機は、制作するスペースが欲しかったんです。今までは自宅の食卓の上でつくっていたので、食卓のテーブルの中に収まるものしか制作できなかったんです。それで思いきって事務所を借りたんです」
立体イラストは、通常のイラストの3倍ぐらいの時間と手間がかかり、決して料金的にも効率的な仕事とはいえないが、つくること自体を楽しむ服部さんにとってはハードな仕事も苦痛ではない。
「今は子供がまだ5歳なので、あえて自分の子供が喜びそうな仕事をやっているところがあります。世間を楽しくさせるものであればディスプレイであろうが本であろうが、アニメーションであろうが何でもやってみたいですね」
アニメのほうは「ぽんぱ」(講談社刊)に掲載されていた「ドクターかめかめ」という亀のキャラクターを主人公にしたビデオが発売された。
また最近では、商品開発の仕事も増えて、ウェディングドレスからグッズまでを制作して東急ハンズ池袋店にウェディングコーナーを常設、そして販売するようになった。
仕事と子育てを見事に両立させているようだ。