電話一本、デスク一つでできる
SOHO的人材派遣業の開業入門
「布団二枚と机だけでスタートしました」
ゲリラ的営業方法で生徒と先生を確保
家庭教師派遣の株式会社コミュニティ・サービス
家庭教師を派遣する株式会社コミュニティ・サービスの水谷治朗社長が同社を設立したのは、平成5年4月のことだった。学生時代から起業家を目指していた水谷氏は、大学卒業後、大手証券会社に入社するが一年で退社し、大学、そして証券会社時代も一緒だった友人と300万円ずつを出し合って同社を作った。
開業資金の600万円は、事務所開設などの経費に消えた。開業後1カ月は徹底した調査にあてたおかげで、派遣契約を結んだのはわずか3、4件に過ぎず、売上は10万円ほどだったという。
しかし、4カ月目には売上は700万円、半年後には1000万円に達した。家庭教師派遣業では、やらなければならない大きな業務が二つある。それは、生徒の確保と先生の確保だ。
水谷社長はとにかくシステマティックに動くことを嫌う。すべてがゲリラ的といってもいい。
生徒を確保するには、まず、生徒の家に営業をかけなければならない。そのためには学校の名簿があれば有利なのだが、開業当初は、ゲームセンターなどへ出向き、そこで子供たちに直接声をかけて、名簿をもらったというのだ。これは余談だが、誘拐犯と間違われたこともある。
名簿が手に入ると今度はそれに載っている子供の家に次々と電話をかけた。興味を示す親がいると、直接家へ行き模擬レッスンを行う。当初は水谷社長自ら模擬レッスンをしたこともある。
一方、これと同時に先生も探さなければならない。先生はほとんどが大学生だが、この募集方法もゲリラ的で、大学の教室、食堂など学生がたくさん集まっている場所で突然声をかけ登録を勧めるのだ。1週間もあれば5000人くらいの学生を登録させることは可能だと水谷社長は豪語する。
ただし、実際には10人に1人くらいしか派遣できない。生意気、マナーが悪い、時間にルーズ、こういった学生は、いくら学力があっても採用はされない。
採用後、本部において研修が実施されるが、教え方のノウハウなどは学生本人に任せ、ここでは主にメンタル面
の指導が行われる。特に気を配っているのが、子供の気持ちになって考えることや、学生といえどもプロの意識を持つことなどだ。
そして、面接時から普段の電話のやりとりまで、採用した人間の性格面
で気がついたことがあれば、逐一パソコンの個人データに入力して、性格分析を絶えず行っている。派遣する人間の性格を的確に把握することがトラブルを避けるもっとも最良の方策だからだ。
業務連絡は義務づけられており、本部としても派遣先の家庭との連絡を欠かしてはいない。
同社の最大のセールスポイントは、登録の先生の数が多いことだ。これも、何よりも営業を大事にして、足で稼いだ成果
といえるだろう。その数は6万人にも及び、生徒の希望に添った先生が選択できる。他社では、生徒の近隣に住む先生がなかなか見つからないということも少なくない。
水谷社長は、この仕事を、若くて資金のない人向きだという。そして、これから始めようと考えてる人に向けて、「とにかく足を使うこと。売上は外部要因よりも内部要因に左右されがちです。パイはまだまだあります」とアドバイスしてくれた。