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    できる合名・合資
    会社はSOHOに
    ぴったりの会社

資本金1万円で設立できる
合名・合資会社はSOHOにぴったりの会社

お金はないけど明日から社長になりたい――そんな人のためになんと資本金1万円で設立可能な会社があった。合名・合資会社がそれである。ちゃんと法律で認められた会社だから、有限や株式に比べても何の遜色もない。会社設立にもこんなスゴイ裏技があったのだ。



株式・有限と合名・合資とはいったいどこが違うの?

 たった1万円の資本金で会社をつくることできるのをご存じだろうか。かく言う私自身が実際に挑戦して成功したのだから、まぎれもない事実。タネ明かしをすると、それは株式会社、有限会社ではなく、合資会社(または合名会社)をつくることである。

 現在の日本では、株式会社は最低1000万円円以上、有限会社は最低300万円以上の資本金を持っていないと会社を設立できない。ところが、合資会社か合名会社ならば、最低資本金の制限がまったくない。つまり、極端な話が資本金1円でも会社は成立するのだ。

 そんな特殊な法人には何かしら決定的なデメリットがあるに違いないと思いがちだ。しかし、それは間違っていると、私は自信を持って断言できる。以下にその理由を述べよう。

 一般の会社設立ガイドブックには次のようなことが書かれている。

 「株式会社、有限会社の経営者は有限責任だが、合資会社と合名会社の経営者はどちらも無限責任を負わなければならない点が決定的なデメリットとなる」

 本当にそうだろうか? 税理士&行政書士の井上栄次氏に解説してもらおう。

 一言で言うと、株式・有限と合名・合資とはいったいどこが違うの?

 「要するに、有限責任である株式もしくは有限なら、会社が倒産しても社長は自分のサイフからは会社の借金を1円も返済しなくていい。ところが無限責任の合資と合名の場合、経営者は、最終的には自分の家屋敷を売り払ってでも借金を返せということですね」

 ――じゃあ、株式か有限なら、倒産しても社長が夜逃げする必要なんかないんじゃない?

 「理論的にはそうなんだけど、現実は違うんですよ。現在の商法では、社長自らが資本の全額を出している実質的な個人企業の場合、会社が倒産したら個人の資産まで追及されるのは常識です。そもそも金融機関から融資を受けるとき、零細企業では必ず社長個人の資産を担保に入れるか、社長の個人保証をつけることを求められます。したがって個人で設立する株式会社・有限会社ともに実質的には無限責任に近いんです」

 それなら、合名会社・合資会社とあまり変わらないではないですか。「おっしゃる通 りです。法人である以上、税法上の扱いも株式や有限とまったく同じです。だから、合資会社や合名会社だからといって特別 、不利なことは何もないはずですよ」

有限会社よりもはるかに有利な合名会社・合資会社

 有限会社の設立ガイドブックを開くと、株式会社に比べていかに有限会社が有利かを得々と述べている。個人で独立起業を考える人は「有限会社にすべき」と断言している本も少なくない。いったい有限会社のどこが有利だと言うのだろうか。

 従来の会社設立ガイドブックにはその根拠として次のような三点を挙げている。

●株式会社よりも資本金が少なくて設立できる

●株式会社よりも設立手続きが簡単である

●株式会社よりも運営が容易である

 実は、これら3点すべてについて、個人起業家にとっては、有限会社よりもはるかに合名会社・合資会社のほうが有利なのだ。

 まず第一に資本金。有限会社は最低300万円必要だが、合名会社、合資会社なら最低資本金の縛りなし。また、会社運営面 でも、監査役はもちろん取締役すら置かなくてよく、社員総会も開かなくていい合名・合資会社のほうが有限会社などよりもずっとラク。

 さらに設立手続きでは、有限会社に必須の定款の認証や出資金保管証明書発行手続きといっためんどうなが一切省略されている合名・合資会社のほうがはるかにカンタン。

 ちなみに、私が資本金1万円の「合資会社日向咲嗣事務所」の設立に要した時間は延べ11時間。かかった費用は登記に必要な印紙代6万円と印鑑代などで、合計7万円であった。

 では、そもそも合名会社、合資会社とはいかなる組織なのだろうか。まず、合名会社(英語ではパートナーシップと呼ぶ)とは、2人以上の人間が資本を出しあって共同でひとつの会社を経営する組織形態をさす。

 最大の特徴は、メンバー全員が会社の経営者イコール出資者(無限責任社員と呼ぶ)であることで、会社の債務に対してはこれまたメンバー全員が連帯して出資額を超えた責任を負わねばならない。したがって、合名会社とは、強い信頼関係で結ばれた親族や仲のいい友人同士で資本を出し合ってつくる最も原始的な会社組織であるといえる。


SOHO的展開を志向する人ならば合名・合資会社

 次に、合名会社スタイルでは共同経営者が必要なので、それがいない人は困ってしまう。まう。そこで、経営には参画しなくていいから、出資だけをしてもらうメンバー(有限責任社員と呼ぶ)も参加してもらう組織をつくるとする。そうすると、ひとり以上の経営者+ひとり以上の出資者という社員構成になり、これが合資会社(英語ではリミテッド・パートナーシップと呼ぶ)なのである。

 合資会社の場合も、会社の経営を担当する無限責任社員については、合名会社と同様、会社の債務に対して連帯保証人と同じ立場で出資額を超えた責任を負わねばならない。しかしその一方で、単に出資のみを行った有限責任社員(株式会社の株主にあたる)については、会社の経営権は一切与えられていない純粋な出資者のため、もし会社が潰れても出資額以上の責任は問われない。

 ということは、合資会社の有限責任社員としてなら、株式会社の株主のように気楽に出資参加できる。また第3者からの出資など必要なく、ただ法人をつくりたいだけの人ならば、友人に1000円でも出資してもらえば、それだけで会社が成立してしまうのである。

 人的会社(合名と合資をさす)を選択することで唯一不安があるとしたら、それは資本金が少なく、世間であまり知られていないため、信用面 で弱いという点である。合名・合資会社についての正しい情報が流通していないだけに、いまのところ確かに人的会社は色眼鏡でみられる可能性は否定できない。

 したがって、もしあなたが金融機関などから多額の借金をして、社員もたくさん雇い、ひたすら規模の拡大を追求する物的経営を展開しようとしているのなら、これらの組織はまったく不向きだ。何が何でも1000万円かき集めて株式会社を設立しよう。

 しかし、パーソナルなワザやノウハウを元に自宅を事務所にしたSOHO的展開を志向する人ならば、人的会社にしても何らデメリットはないはずだ。

 あなたの取引先は、資本金の額や会社形態をみて取引するかどうかを決めるわけではない。あくまであなたという人間個人の能力や信用度をもとに取引するかどうかを決める。

 人的なノウハウや信用度をもとに展開するパーソナルビジネスにとって、会社の組織形態よりも、起業家個人の能力や信用度のほうがずっと重要な要素なのは論をまたない。

 人的会社は、ただ単に少額の資本金でつくれる法人ではない。実は、それらには、個人が起業するときの障害を乗り越える機能も持ち合わせているのだ。

 第一に、ひとりでは能力はもちろん資金十分自信がない人。たとえば、技術には自信があるが、営業は苦手という人がひとりで会社をつくっても失敗する可能性は高い。ところが、営業が得意な人と合名会社を共同経営すれば成功する確率はずっと高くなるはず。

 逆に経営は自分ひとりでやりたいが開業資金が足りないという人は、合資会社を活用して広く出資を募ればいい。有限会社の場合、出資者は50人までと限定されているが、合資会社ならば何100人の出資者を募っても法的にまったく問題がないのだから。

 さらに、フリーランスとして活躍していて法人格だけ欲しい人なら、友人に1000円出資したもらって実質的にはワンマンカンパニーの合資会社を設立すればいい。

 このように、人的会社という組織は、活用次第では恐ろしいほどの可能性を秘めている。まさに一億総SOHO時代にピッタリの、パーソナルビジネス向き法人組織なのである。

 

●合名・合資会社設立に関して詳しく知りたい方は、二期出版刊「決定版 資本金1万円で独立起業の夢を実現する法」(日向咲嗣著/井上栄次監修 本体1500円+税)に詳しく書かれていますので、書店でお求めください。

 

日向咲嗣

(ひゅうが・さくじ)1959年、愛媛県生まれ。大学卒業後、新聞社、編集プロダクションを経てフリーランスライターに。副業評論家の肩書きでサラリーマンの副業をテーマとした執筆活動を展開する一方、人的会社の独立起業ノウハウについて研究中。主な著書に「収入3倍! いやな会社なんて辞めて自由に暮らす100の方法」(DHC)、「1年で手取り300万円を稼ぐ66の副業」(ベストブック)「1日3万円稼ぐ77の副業」(明日香出版社)、「資本金1万円で会社をつくる法」(オーエス出版社)













 
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当情報は 2000年の春〜秋に発行された雑誌「DOPPO」の各記事を元に編集されております。
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