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弁当屋]

夫婦で始める
あんなベンチャー、こんなベンチャー

第二の人生は町の手づくりお弁当屋さん
年配夫婦の家族的経営がお客を増やすコツ

 西川さんは64歳になったとき、第二の人生として弁当屋さんを開業した。3年前の冬のことである。妻の一子さんはずっと専業主婦で、夫婦一緒に働くのは未経験であった。

 喜雄さんは、東京・中央区で弁当店を経営する兄の下で働いていたが、傍から見ていても弁当屋商売は結構儲かることを実感していた。

 「手堅い商売なんで自分でやってみようと思いまして」

 港区虎ノ門のビジネス街。表通りから道一つ入った場所のせいで開店当初はお客も少なかったが、次第に、その場ですべて手づくりしていることが知られるようになり、2、3カ月後には味の良さと種類の多さが評判になって、昼食時にはビジネスマン・OLの行列ができる店になった。

 売上は2年目で倍になり完全に軌道に乗った。現在1日の売上は平均17万〜18万円。朝から1時半ぐらいまでは夫婦で口をきく余裕もないほど忙しく、1日の売上げの80%以上がこの時間帯に集中する。

 通常、ほとんどの弁当屋さんは午前10時頃開店するが、同店は朝5時半から営業を開始。出勤前のビジネスマン・OLにつくりたてのおにぎり、サンドイッチを売ることで売上を伸ばしている。その後、昼の弁当の仕込みを始めるので、朝から昼までは座っているひまがないほどだ。

 弁当の売れ筋は魚のおかずの弁当で、売上げの3分の1以上を占めるという。他店のフライものと違って煮魚、焼き魚など手間がかかるものが多く、それもファンを増やした要因の一つだろう。

 弁当商売を繁盛させるポイントは接客につきるという。同店の場合は、主に一子さんが接客を行い、喜雄さんは調理場を担当することが多い。

 「妻はお客さんに対して細か過ぎるほどのフォローをしますね。お客の扱いは妻のほうが上手ですよ」(喜雄さん)

 一子さんは弁当を買いにきたお客に「お早うございます、行ってらっしゃい」と声をかけるようにしているが、独身のビジネスマン・OLが多いせいか、こうした言葉のやりとりに家庭的な雰囲気を感じるお客もずいぶん多い。常連客だった人が転勤する際に菓子折を持ってきたり、転勤先から手紙を送ってくる人もいる。

 「年配者の夫婦のお弁当屋さんにとっては、お客さんは子供か孫みたいなもの。ただ、売り買いするだけではなく、ちょっとした言葉のふれあいが大切ですね」(喜雄さん)

 同店は有限会社として設立し、代表取締役には妻の一子さんが就任。店では調理担当の喜雄さんだが、家に帰ったら家事は一切しない。家庭では社長の一子さんが夫の好きなおかずをつくる。

 「土日も休んだことがありません。とにかく寝る時間が欲しいほど忙しいんです。楽しみは盆と正月に夫婦で行く温泉旅行ですよ」(一子さん)












 

※ご利用に際して

当情報は 2000年の春〜秋に発行された雑誌「DOPPO」の各記事を元に編集されております。
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